夢一夜

今月の頭に、自動車学校を卒業しまして、あとは地元で学科試験を受けるだけになったわけですが、まだ2週間ちょっとしか時間が経っていないのに学科で習った内容をかなり忘れてしまいました。あれだけ、ひぃひぃ喚きながらも、卒検までストレートでいけたので、学科試験も落とさずに行きたいところです。勉強しなおします。

でも、免許を取得できたとしても、ペーパードライバーになる気しかしないんですよね。運転とか、怖くて怖くて、なるべくしたくないですし。じゃあ、なんで免許を取ったのかって話ですよね。今時、マイナンバーカードがあるので、顔写真付き身分証は事足りていますし。いや、ホント、なんでとったんでしょう。あの時間は何だったのでしょう……。

正気に戻るといけない。いけない。いけない。

一応、理由はなくもないんですよ。親の老後とかね……。田舎だと、バスもあんまりないし、きょうだいのうち近くに住んでいる方が足になった方が買い物も通院も楽なこととかあるんですよ。親を見ているとね、思います。自分の将来設計に、そういう、うつうつとした現実が入りまじる、今日この頃。

夢も希望もねえよ。そんな、3年生がお送りしています。


さて、楽しい話をしましょう。

昨日の稽古の前半はワークショップの時間で、「部屋づくり」というゲームと朗読をしました。

「部屋づくり」というのは、パントマイムで自分の部屋を再現し、見ている人たちにその部屋の間取りを当ててもらうゲームです。部屋を再現している間は、実際に生活をしているかのような自然な動きで表現しなければならないのですが、みんなの生活が垣間見えて面白かったです。帰宅後即ベッドにヘッドスライディングする人、朝起きてバタバタと身支度する人、優雅に朝を過ごす人…。

「部屋づくり」の次は「夢十夜」の朗読をしました。何気に初めて読みました。よいですね。最高に「the 夢」って感じがしました。「こんな夢を見た。」で始まらない章もあるんですね。ちゃんと分析してみたい作品でした。

で、読みながら、思ったんですよね。「夢十夜」。パロディ、作れるんじゃないかなと。汚い夢十夜、みたいな。パロディというか、ただの夢の報告ですね。「夢十夜」形式の。さすがに漱石は、「夢十夜」でガチの夢報告はしていないはずなので、ちょっと違うかもしれません。ここで一つ、汚い夢十夜を書いてみたいと思います。昨日見た夢です。(ちなみに、昨日見た夢と今日見た夢、二夜連続でカバが出てきました。今日見た夢では、高校時代の友人と知らない女の人がヒャッハー系の男性たちに川に突き落とされたせいで、カバに食われていました。カバの口が蕾みたいに膨らんでいて、なかなか嚥下しないので、これは助けられる!と思ったんですね。で、カバに彼女たちを吐き出させるために川に向かって靴を投げ入れてました。無事救出できました。なんでや。)



第一夜

こんな夢を見た。

デパートの四五階あたりを歩いていた。歩きながら、小池からの連絡を待っていた。歩いているうちに、自分の腕が目に入って、次に、自分の脚が見えた。なぜ、西洋人形のような恰好をしているのだろうと思った。手袋と靴下が派手な麗糸に縁どられて気取っている。

着替えなければならない。このまま小池と会うことはできない。急き立てられて、階を下ろうとするとエスカレータは止まっていた。乗っている客もみな一分も動かずじっとしている。瞬き一つしない。その合間を縫って階段を駆け降りるように一階に着くと、自分は今、大丸に居たのだと気がついた。着られる服を探してみたが、とても買える値段ではない。大丸を飛び出した。

小池からの連絡を確認しようと思った。昼食に誘われたはずだった。時計は見ていないが、とうに正午は超えたように思われた。十六時から十八時の間に、ホテルのロビーで待つようにと書いてある。何が昼食だ、焦って損をしたと思いながら、足早に向かった。まだ、十五時にもなっていないが、道に迷うのは決まっている。

住宅街に入り込んだ。ホテルがあるとも思えないが、ここを探すしかない。いつの間にか、辺りには住宅しかなくなっている。日は傾いている。赤い夕日の中、重量ある二階建ての洋風の家が敷き詰められた区画の中を、息を殺して歩いていた。しばらくして、自分は男の後ろについて歩いていることに気がついた。

何処まで行っても住宅地から出られそうにない。男は慎重にブロック塀と柵の間を縫って歩いている。何のために男を見失わないようにしているのか思い出せない。やがて、白い家の玄関先に、一匹の子熊が現れた。顔の中心は赤毛がかっていて、かわいらしい顔付をしている。玄関が開いて、白い家の家主が現れた。目が合うと、家主は目を見張った。自分は、あっと声を上げて男を見た。男もひどく焦った顔をして、眼を充血させた。すぐに男は叫んだ。

「それはうちの熊です」

私も強く同意した。自分の熊ではなかったが、熊を放し飼いにしていると思われると、近隣住民に後ろ指をさされるようになることを知っていたからだ。家主はこちらを毅と睨んで、子熊に駆け寄り、抱き上げた。

「うちの熊ですよ」

ぴしゃりと戸を閉め家の中に入った。この辺りでは、みな子熊を飼っている。その子熊たちは、熊狩りの熊と呼ばれている気がする。

「あの人は、熊を家の外に出したのを私たちに見られて、しまったと思ったのだ」と、男が云うので、私もそんな気がした。

しばらくすると、男はある家の中に入っていった。そういえば、自分はこの家の子だと思った。女子高生だった。そして、男は、ずっと我が家に居候していたことを思い出した。その後ろについて家に入った。居候の男は狭い階段を通って二階に上がると、ベランダに出て、あった、あったと云って笑った。居候の男はそれを、自分の劇団の大道具だと云った。平台を立て掛けているのだと云うが、下駄箱かにしか見えない。男はそれを持ち上げた。壁に沿わせていた面にびっしりと虫がついている。男はそれをシロアリだ、シロアリだと云って笑うが、こんな虫はシロアリではない。

男をベランダに締め出すと、一階が騒がしかった。小学生の子供が三人、燥いでいた。知らない家の子だ。そういえば、カバの散歩をしに行かなければならない。近所の人は自分の家にカバがいるとは思っていない。熊だと思っているはずだ。そもそも彼等だって滅多に家から熊を出さないのだから、余所の熊がカバだろうがバカだろうが判らない。

カバにリードをつけて、三人の小学生を諫め、家の外に出た。散歩をすれば、熊ではなくてカバであることを知られてしまうではないかと、この時始めて気がついた。恐らくは、もう既に、知られている。

 



……希望はありませんが、夢はありました。変な夢ですが。

カバに呪われています。たぶん、私の前世は、カバ狩の最中、瀕死のカバの返り討ちに遭って死んだとか、そんな感じでしょう。密猟者だったんですかね、私。








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