心あるまま縷々語る

こんにちは、野口です。新入生歓迎公演、最後の笛にっきになります。遅くなり申し訳ございません。

締めくくりという事で、今回の演習意図や感想を書いてみることにしました。駄文にはなるでしょうが、お許しください。では、どうぞ。


・脚本について 

演出になる事が決まって、まず悩まされたのが脚本でした。新入生歓迎公演として行う都合上、「演劇に興味を持ってもらう」事が最重要になってきます。派手な動きやドラマチックなシーンがある脚本のほうがいいのかなと思って脚本を探したものの、条件に会う脚本は見つからず。 そこで、「自分が好きなものを新入生に見せる」という方向転換を行い、今回の脚本を選ばせて頂きました。自分が惚れ込んだ、美しく柔らかな世界を見せる事に決めたのです。この辺りはパンフレットにも書いていますね。かなりエゴを出したのですが、稽古期間や各部署の作業を含め、変更してよかった部分かなと思います。


・役者について

各役者には、こなして欲しい役割がありました。特に顕著なのが館長ですね。今回の舞台、見せ場となるのは「ネコの吐露」と、「男と女のラストシーン」の2つであると考えていました。しかし、これらの場面は劇の後半に固まっているため、序盤と中盤を退屈に感じる人もいるかもしれません。そこで登場するのが館長です。あまりにも情熱的で純粋な彼の行動は、オーバーで面白い、非常に部隊映えするものだったと思います。序盤中盤の盛り上げという大きな役割を、館長さんは完璧に果たしてくれました。大感謝です。 


・音響と照明について 

音響と照明は、多くの音源や色を使いたいと思っていました。とはいえ、今回の舞台は感情の起伏が激しくなく、緩やかな変化をする作品。どうしようかなーと思い悩んでいる時に、とあるアイデアを思いつきました。それが、キャラクターごとにテーマとなる曲と照明の色を設定する事。そして、ネコの喪失をピアノの喪失で表現することです。今回の公演では、ほとんどすべての場でピアノが流れています。ピアノは、ネコを象徴する音。軽やかで上品で、すこし寂しい楽器。男がネコの喪失に気づいたタイミングで音源をピアノから切り替えることで、ラストシーンをより効果的に見せることが出来るのではないか、と考えました。また、ネコの吐露の場面で音楽を変更することで、いつものネコとは違う、という印象をより強く感じさせることもに繋がったと思います。音響をキャラごとに固定し、ピアノ以外の楽曲を敢えて使わないことで、後半での変化を効果的に見せるということが、今回の音響の目標でした。(オマケ程度ではありますが、館長の動きに合わせて音源をフェードすることで、帰ったと思ったらすぐ戻ってきた!という天丼を面白く見せようと努力したりしています。)

 照明に関しては、キャラクターごとの色に加え、館長を目立たせること、ラストシーンの美しい光の3つを大事にしていました。この辺の微調整は照明部署さんにお願いした感じですね。女の色は、男にとって暖かく眩しい存在だから黄色を使いました。ネコは、上品でありながらも爽やかな緑色に。館長は、愚直に芸術や他者を思える情熱と真っ直ぐさの赤を選びました。因みに、今回の音響と照明はすべて男視点のものになっています。今回の舞台は、観客だけでなく、男のための四重奏でもあったのかもしれません。 


・感想 

公演を通して、役者の成長が目覚ましいなと感じました。これが演出の面白いところなんだろうなーということを、ひしひしと感じております。 


まずは男。オーディションの頃から、平常時の声は完成していたように感じます。稽古を通して、少しずつ声質を保ったまま声量が出るようになり、ラストシーンでの純粋さも出せるようになっていったと思います。自分を低く見ながらも切ない期待を抱き続けた不器用な男は、純粋にほほ笑むことができるようになったのではないかと感じさせてくれました。一度もはけない主演でしたが、セリフを忘れて舞台を止めることもなく突っ走ってくれました。本当にありがとう。 


次にネコ。解釈をかなり任せてしまいましたね。自分はメタ的な視点で稽古をするタイプの人間なので、「こうしてほしい」よりも「こうしないでほしい」を言うことが多く、困らせてしまったなと反省しております。動きにも苦しんでいる様子でしたが、本番では自然に動けていたと思います。お客様からの評判も良い、美しいキャラクターになったと思います。本当にお疲れ様でした。 


女には難しいことを沢山言いました。多分、役者さんの得意な方向のキャラでは無いんですよね。申し訳ないなぁと思いつつ、素知らぬ顔で無茶を言ってきました。すみません。それでも、自分なりの解釈を作り、少しずつキャラクターを自分の世界に巻き込んでいたように感じます。僕自身、一番解釈に悩まされたキャラクターでしたが、演出の考えよりも深く掘り進み、自分なりの女を見つけ出してくれたのではないかな、と思わせてくれました。


そして、館長さん。オーディションでの決め手は、上品な姿勢と柔らかな声でした。今回、館長にはオーバーになることを求めてきました。本番直前からメキメキと面白くなってきて、どんどん理想の館長になっていったように感じます。役者さんの必死さが、館長というキャラクターに重なってくれたのかな。初舞台とは思えない、堂々とした立ち振る舞いでした。貴方のおかげで、館長というキャラクターは輝いていたと思います。 


最後に、部署の人達、本当にありがとうございました。衣装メイクと情報宣伝に関しては、ほとんど丸投げになってしまいましたね。自分の希望を形にしたような案を沢山提出してくれたので、いい意味で悩まされました。 

先輩がいなくなり、全ての部署で人手不足な場面があったと思います。そんななかでも、うちの部署はすごいんだぜ!!と胸を張って言えるようなものが作れたと感じています。本当にありがとう。 



 人がいない中ですが、何とか新入生歓迎公演を行うことができました。今思えば、自分もっと上手にできたよなーと思う事が沢山あります。とはいえ、見に来てくださった方が満足してくださったのであれば、この舞台は成功したと言えるのではないか、と思っています。2~3か月もの間、拙い演出を信用し、付いて来てくれてありがとうございました。それでは、さよーなら!

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