鮮度と練度

 皆さんこんばんは。劇団笛の井上です。

 今日は久しぶりの雨でしたね。これを機にどんどん寒くなっていくのでしょうか…。

 10月もそろそろ終わろうとしています。練習期間も折り返し地点に近づいてきました。そんな今日この頃、僕は「舞台の新鮮さ」ってなんだろうと感じながら練習しています。ワークショップやシーン練で「感じたままに」「その場その場の感情を」といった点を意識することがよくあります。リアルさを求めるなら、嘘で塗り固められたものや準備していたものは捨て去るべきです。つまり、常に「新鮮」でいることが求められます。

 しかし、その一方で「練度」も求められます。自分の役を知り、相手の役を知り、舞台の雰囲気を知ります。繰り返し繰り返し同じシーンを練習することで、ミスの少ない安定した舞台が出来上がるのです。

 しかし、これは「鮮度」と相反するものではないでしょうか。「練度」を上げるためには慣れが必要になります。慣れることで極度の緊張を和らげ、視野の拡大が図られるからです。しかし、慣れることは一側面では惰性でもあります。「次はこうくるはずだ」「次はいつも通りこうやろう」と考えることは、「鮮度」の喪失と捉えることも出来るでしょう。

 また、「鮮度」だけを追い求めても不安定になり、台詞どころかストーリーの展開すらあやふやになってしまいます。そこで生まれる感情は確かに新鮮なものかもしれませんが、それは役の感情というよりは「やばい、台詞忘れた…」といった、役者の感情だといえます。

 この議論、突き詰めていけば「鮮度」と「練度」の妥協点といったところに落ち着くのだと思います。「練度」を上げつつ「鮮度」を意識、それが丁度良いのだと思います。しかし、僕はそれを言葉ではなく感覚で感じてみたいのです。繰り返し、繰り返し練習した上で生の感情が生まれる、その瞬間に立ち会ってみたいのです。きっとそこには、日常生活で生まれる気持ち以上の感動があるのだと思います。

 すぐにこの願いが、欲望が達成されるとは思っていません。もしかしたら、一生感じることができないかもしれません。それでも追い求めてみようと思います。それも演劇の楽しみの一つです。

 ちょっと今日の日記はいつもより長いですね。このあたりで終わります…。

 最後まで読んで頂き、ありがとうございました。

                                                     劇団笛2年 井上幸助

 

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