台詞と言葉
皆さんこんばんは。劇団笛3年の井上です。久しぶりの日記投稿です。
もう本番まで1カ月を切っております。パッパと台詞を覚えて舞台を詰めていかなければなりません。
でも、台詞覚えって何なんでしょうね。「それは役の台詞を覚えることだ」と言われてしまいそうですが、でも、役者は台詞を覚えても、役は台詞を覚えてるわけではありません。役が頭に浮かんだ言葉や考えた末に口から出たものを私たちが勝手に「台詞」と呼んでるだけなのです。今日はこの「台詞」について考えてみたいと思います。
台詞を覚えたての頃はどうしてもシーン練習中に言葉を頭の中で追ってしまいます。「この馬鹿野郎!お前のせいで俺はどんな悲惨な目にあったと思ってるんだ!!」という台詞があったとしても、正しく台詞を言おうとすると、「次の台詞は…」とか「あれ?このタイミングで言う言葉だっけ?」ということばかり考えてしまい、「この馬鹿野郎!」に関連することを考える余裕はありません。
でも、不思議ですよね。本来、役は「この馬鹿野郎!」と言えるぐらいの感情や考えがあって言葉を発してるはずなのに、それを演じる役者はそれには関係のないことを考えながら台詞を言っているのです。
僕自身この問題に対して、とりあえず台詞は「暗唱」ではないという結論に行き着きました。台詞は一言一句間違えてならないのではなく、大筋を捉え、意味合いを変えない範疇であればよいということです。もちろん、台本の中には一言一句言うからこそ効果的で、また言葉として美しく響くものもあります。そういった例外もありますが、やはり台詞は言葉の正確さより、言葉が意味する意思が重要なのではないでしょうか。「この馬鹿野郎!」は「次の台詞は…」などと考えていては出てこないのです。
ある演出家さんの書籍で「台詞はうろ覚えにしてこい」と書いてありました。僕の勝手な解釈ですが、大切なのは言葉そのものではなく、そこに宿る人の思いや意思なのだということではないでしょうか。僕も今回の舞台では、しっかり生きた台詞、つまり意志ある言葉を発せられるようにしたいものです。
それでは今日はこのあたりで。
最後まで読んで頂き、ありがとうございました。
劇団笛3年 井上幸助
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